骨膜下インプラントの長期臨床例の経過と問題点

骨膜下インプラント法は50年以上前から歴史上最も古くから行われてきたもので、アメリカのアーロンガーシュコフを始め多くの臨床家が、様々な試行錯誤を経て行ってきた。しかし外科的侵襲が大きくこれまで骨面印象とフレーム挿入の2度の手術が必要なこと、更に印象採得が困難である事から、骨面模型が不正確になること、更にフレーム周辺の感染の問題などから克服すべき課題が多いものと考えられてきた。しかし骨が完全に吸収して骨内インプラントが不可能な患者には、骨造成法などの選択肢があるが、高齢者やサイナスリフトが非適応症のケースの場合、インプラントによる治療は骨膜下法が臨床的に必要な治療法であることはこれまで国際的にも認められてきた。

最近治療方術式の改良やITテクノロジーの応用により新たな改良がみられるようになった。殊にCTデータアルゴリズムを応用した3次元模型作製技術の発達により、極めて正確な模型作製が可能となり一部骨内維持を求める骨内骨膜下法はフレームの露出や感染を少なくする効果もあり、GBRの併用により審美的改善も期待出来る側面があり、尚かつ1度の手術でのインプラント挿入が可能となり、患者の外科的侵襲も減少することが出来るようになった。過去の治療法が新しい技術の進歩により、医療技術として見直されることは医療分野においても枚挙にいとまがなくなく、むしろ過去の問題を凌駕することもあることをインプラントロジストとして、認識すべきであろう。
又この治療法は比較的早期の審美的回復や咬合機能回復も可能である点も臨床的に意義がある。
以上のことからCT-CAD/CAM模型を応用した骨膜下インプラント、骨内骨膜下インプラントはインプラントの難症例解決の一つの手法として今後更に発展を遂げる分野と推測される。

今回演者は過去のシステムの問題点を改良する為に以下の手法による臨床例とその予後経過について検証したい。
患者の顎骨のCTデータをもとにRapidPrototyping法という石膏3次元生体模型を作製しインプラントフレームを設計し純チタンによる骨膜下インプラントを作製、挿入手術を行った。骨の欠損部分についてはPRPなどを応用し、GBRを行った。
骨とインプラントフレームの適合は良好であり、初期固定も極めて強固であり、フレームの露出もほとんど見られなかった。GBRを応用することで審美性にも理想的な形態が付与できた。

これらの結果、CT-CAD/CAM 骨膜下インプラントは骨内インプラントで解決できない症例の中で、応用の必要性があり、 更なる研究開発が必要な分野と考えられる。