日時:4月22日(日)
10:00~17:00
場所:青海フロンティアビル 第3会議室
http://www.tokyo-teleport.co.jp/b/aomi/
ゆりかもめテレコムセンター下車1分
講師:阿部伸一 東京歯科大学 口腔解剖学教授
抄録
神経・血管損傷を回避するために知っておきたい臨床機能解剖
東京歯科大学 解剖学講座 阿部 伸一
高齢社会になり、合併症を伴った患者、また著しい歯槽骨の吸収を呈する患者などの難症例が近年増加の一途をたどっている。この難症例に対する口腔内小手術、特に歯科インプラント治療に対しては、確かな解剖学的知識をもって細心の注意を払って望まねばならない。よって顎骨の歯牙喪失後の形態変化によって、顎骨周囲、顎骨内部の神経、血管、筋、唾液腺組織など軟組織の位置関係が、口腔内からどのような部位に位置するように変化するのかについて解説する。
演者は、《臨床医が知らなければならないチェックポイント》をかねてより提唱している。チェックポイントは、危険部位の神経、血管の走行形態についての解説を中心に行う。チェックポイントの例を挙げると、下顎舌側の顎舌骨筋線上を走行する舌神経の走行がある。患者の口腔内を覗き、下顎舌側粘膜を透かしたように舌神経の走行を指でたどれる歯科医がどれだけいるであろうか?全員がその走行を熟知していたら、舌神経の損傷によって舌の知覚、味覚神経麻痺、唾液の分泌障害などで苦しむ患者はいないはずであるが現実はそうではない。また顎骨内を走行する下歯槽神経が、実際に顎骨内のどの位置を走行しているか、下顎管内を本当にすべての神経線維束が走行しているか否かについて、提示する画像で理解していただきたい。本講演を聞いていただいた次の日から、患者の口腔内を覗き、粘膜や顎骨内の中に潜む危険部位をチェックできるようになっていただきたいと思っている。
略 歴
1983年 芝高等学校卒業
1989年 東京歯科大学卒業
1993年 東京歯科大学大学院終了(歯学博士)
1994年 ドイツベルリン自由大学留学
2010年 東京歯科大学解剖学講座教授(現在)