インプラントの長期臨床例の検証 口腔インプラント学会指針

13時~15時  インプラントの長期臨床例の検証

講師: 榎本 紘昭 日本歯科大学臨床教授

【抄録】

インプラント治療の2回法では、オッセオインテ

グレーションを獲得後、口腔粘膜を開窓して口腔との貫通部を

形成し、インプラント―アバットメント―上部構造体を連結、固定することで人工歯根としての目的を達成する。

これは各コンポーネントそれぞれの接合精度の良否が問われることを示している。

また形成された口腔との貫通部は、Bio-film や隣接歯の Contamination の浸襲を受けるインプラント周囲炎

の初発部位であると同時に、歯列内で調和したMGJ の形成維持も要求される。これには軟組織の角化の傾向

の強弱や厚さが結果を左右することになる。軟組織とアバットメント、歯冠修復物との接合界面に目を向けて

臨床例を提示したい。

 

 

 

 

 

 

15時~17時  口腔インプラント学会指針

講師: 渡邊 文彦 日本歯科大学教授

【抄録】

口腔インプラント治療の選択基準を再考する

今、インプラント治療に求められるもの

 

日本歯科大学新潟生命歯学部 歯科補綴学第2講座

渡邉 文彦

 

インプラント治療は、従来の補綴治療と比較して残存周囲組織の保存と共に、質の高い機能・審美回復が可能であり、また長期間の良好な予後を得ることができる。しかし、その一方で、インプラント治療に関する種々なトラブルが起こっていることも事実である。インプラント治療に関するトラブルは術者側として、不十分なインフォームドコンセント、診断の誤り、治療計画の誤り、上部構造の不適合、不適切な咬合、不適切な口腔清掃やリコールシステムが挙げられる。結果として上部構造の破損、アバットメントスクリューの緩みや破折、上部構造の破損、インプラント周囲炎、インプラントの破折や動揺などが生じる。

現在インプラントの予後を評価した時、20年を超える長期の高い残存率の報告もある。しかし、その一方で長期間インプラントが口腔内で維持されているが、患者の全身状態に変化がおき、認知症や脳血管障害、代謝疾患などを発症し、在宅医療や介護施設に入居するケースも報告されてきている。このような患者の口腔清掃は困難を極めることも稀ではない。口腔清掃の不備は歯の齲蝕、歯周疾患を惹起する。埋入されたインプラントには齲蝕はないものの周囲炎を起こす可能性を増す。インプラントの支持機構は歯とは異なり、歯は脱落してもインプラント体が残存し、これが対向、無歯顎堤に当たって痛みや、咀嚼困難になるといったケースも報告されてきている。このような点から加齢を考慮したインプラント治療計画立案し、介護化必要となった場合どのようにインプラント治療患者のケアを行えば良いのかが問われ始めている。公益社団法人 日本口腔インプラント学会はインプラント患者の高齢化に伴う治療指針、口腔ケアについてまとめる目的で日本老年歯科医学会、日本補綴歯科学会と協力し、それぞれの学会に所属する専門医に対して在宅医療、介護施設の依頼や治療等の有無またこれに関連してのアンケート調査を実施し、「歯科訪問診療におけるインプラント治療の実態調査」報告書を纏め報告書を関連機関に配布した。今後はこれらのデータを基に、介護施設、在宅医療の現場での実態調査を行い、その現状とこれらの患者に対してどのような口腔ケア、治療が必要であるかを明確にし、ガイドランが作成されるであろう。今日インプラント受診患者は地域により10人に1人がインプラント受診患者である。

口腔インプラント専門医はこれら歯科医療機関から、あるいは患者からのとの相談、治療を、求められる。インプラント治療は単に残存率で評価されるものではない。インプラント治療のゴール受診した患者さんがこの世を旅立たれる時、インプラント治療を受けと良かったとの評価である。本講演はインプラント治療のトラブルを最小限にするためにはどのようにすればよいか、またインプラント治療患者の加齢に伴う対応と治療計画について私見をお話しする。

【略歴】

1977年6月~1982年3月 日本歯科大学新潟歯学部歯科補綴学第2講座 助手

1982年4月~1987年3月 日本歯科大学新潟歯学部歯科補綴学第2講座 講師

1987年4月~1989年3月 日本歯科大学新潟短期大学衛生士科 助教授

1989年4月~1999年3月 日本歯科大学新潟歯学部歯科補綴学第2講座 助教授

1994年4月~1996年3月 米国ペンシルベニア大学客員助教授

1996年4月~2007年3月 日本歯科大学新潟歯学部口腔インプラントセンター長

1999年4月~2003年3月 日本歯科大学新潟歯学部先端研究センター・

歯科補綴学第2講座 教授

2003年4月~2007年3月 日本歯科大学新潟生命歯学部附属病院総合診療科 教授

同 附属病院 副病院長

2007年4月~現在     日本歯科大学新潟生命歯学部歯科補綴学第2講座

主任教授

海外留学

1985年8月~1987年3月 米国ミシガン大学歯学部クラウンブリッジ客員研究員

 

団体歴

(公社)日本口腔インプラント学会理事長 平成25年6月~平成30年6月

一般社団法人 日本歯学系学会協議会理事 平成25年6月~

(公社)日本補綴歯科学会関越支部理事 平成25年4月

日本歯科医学会連合理事 平成27年7月~

 

 

所属学会

(公社)日本補綴歯科学会

(公社)日本口腔インプラント学会

(公社)日本顎顔面インプラント学会

日本骨代謝学会

一般社団法人 日本歯科理工学会

米国クラウンブリッジ学会(AAFP)

国際歯学研究学会(IADR)

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