インプラントの全身管理


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10:00~17:00

福田謙一

東京歯科大学教授


抄録

口腔インプラント埋入手術の

危機管理・全身管理・疼痛管理

 

 

東京歯科大学口腔健康科学講座

障害者歯科・口腔顔面痛研究室

福田謙一

 

 

口腔インプラント治療は、咬合を再構築し、食生活などのQOL向上に劇的に寄与する。しかしながら、必要な医療水準に到達していないと医療事故を招き、医療紛争へと発展する。社会は、より安全な医療を求めている。今や口腔インプラント治療を遂行していく上で、医療安全管理の基本である危機管理・全身管理・疼痛管理の充実は、不可欠である。

口腔インプラントの埋入手術は、骨外科手術であること、比較的長時間に及ぶこと、局所麻酔薬の使用量が比較的多いこと、注水下の処置であること、患者に“手術”というイメージから不安を与えやすいことなどから、他の歯科処置と比較して、患者の身体的・精神的ストレスは大きいことが推測される。また、患者は比較的高齢者が多く、内科疾患を合併した患者も多い。したがって、患者の予備力や外科的侵襲の程度によっては、生体モニター監視や精神鎮静法が施行されている。いずれにせよ、口腔インプラント埋入手術を行う上では、疼痛管理も含めて、患者の全身管理を徹底しなければならない。

 また、口腔インプラント埋入手術によって、誤って感覚神経を損傷すると、よほど軽症でないかぎり、完全な回復は望めない。感覚の鈍麻だけではなく、夜眠れないような痛みすなわち神経障害性疼痛を発症させると、患者のQOLはとんでもなく低下すると思われる。

本講習では、緊急時の対応、周術期の全身管理及び疼痛管理、手術後の神経損傷への対応など、口腔インプラント埋入手術を遂行する上で必要不可欠な患者管理について学習する。

 

講演の概要

1)患者の予備力を読む 2)患者の基礎疾患を知る 3)緊急時の対応

4)モニター監視・精神鎮静法の実際

5)ペインコントロール 6)神経障害への対応 

7)術後の痛み、不定愁訴への対応など

 

福田謙一 

東京歯科大学口腔健康科学講座主任教授・障害者歯科口腔顔面痛研究室教授

同大学水道橋病院スペシャルニーズ歯科/ペインクリニック科長

日本歯科麻酔学会指導医・専門医

日本口腔顔面痛学会指導医・専門医

日本障害者歯科学会・認定医

歯学博士

 

略歴

平成2年東京歯科大学卒業後,同大学歯科麻酔学講座入局。

神奈川県立こども医療センター麻酔科研修レジデント(平成4年4〜10月),

東京大学医学部麻酔科医員(平成6年1月〜平成7年3月),

アメリカ合衆国UCLA Habor Medical Center 麻酔科留学(平成9年10月〜平成10年10月)などを経て,

平成11年4月から

東京歯科大学水道橋病院歯科麻酔科/口腔顔面痛みセンター科長

平成18年12月から

東京歯科大学口腔健康臨床科学講座歯科麻酔学分野准教授

平成27年4月から

現職