X線診断の基礎と臨床

会場が、「テレコムセンター東棟会議室」に変更になりました。

講師

新井 嘉則 日本大学歯学部特任教授

 

【新井先生 略歴】

略歴: 1959年 生まれ

1988年 日本大学歯学部大学院卒

2004年 松本歯科大学大学院 硬組織疾患制御再建学講座 教授

2008年 日本大学歯学部 特任教授

役職: 日本歯科放射線学会指導医・歯科放射線専門医・理事

日本口腔インプラント学会基礎系指導医

賞:  2003年 科学技術政策担当大臣賞

2007年 文部科学大臣発明奨励賞

著書: 歯科用コーンビームCT徹底活用ガイド クインテッセンス 2008

15ステップで活用しよう 歯科用CTの完全活用 医歯薬出版 2009

症例でみる歯科用CTの三次元診断-ここが読像のポイントだ!- 砂書房2012

いまこそ学ぼうCBCT 読像・診断のマスターガイド デンタルダイアモンド2018

 

 

【抄録】

歯科用CTの臨床診断とインプラント周囲の歯槽骨のリモデリングを考える

- 高解像力歯科用CTは何を診たか!-

1990年代に歯科医療に最適化した小照射野高解像力歯科用CT(3DX multi image micro CT モリタ製作所 京都)を世界に先駆けて開発いたしました。インプラントの術前診査のみならず、歯内療法や埋伏歯の診断にも応用され、現在では国民健康保険にも導入されるようになりました。

この高解像力の歯科用CTによって、慢性的な炎症により歯槽骨の欠損を生じると、その周囲の骨が炎症の拡大に抵抗するよう硬化する反応、すなわち、“炎症性の骨硬化反応”の詳細を観察することが可能になりました。また、慢性炎症がとり除かれると、リモデリングが活発に行われ、正常な骨組織に移行していくことも観察されるようになりました。歯科用インプラントにおいても、長期症例ではインプラント体を支えるような骨梁が出現することが観察され、炎症がある場合は周囲に骨硬化反応が認められました。

しかし、臨床の現場では、CTを経時的に撮影することはX線被曝の問題から、また、病理標本を得ることは倫理的な問題から、それらを得ることは困難でありました。そのため、十分なエビデンスを得ることが困難でした。

そこでこの問題を解決するために、実験動物用マイクロCTの開発を行いました。これによって、骨のリモデリングの様相を動画として観察することが可能となりました。

一方、歯根膜由来の幹細胞が発見され、また、骨免疫学の発展によりリモデリングに骨細胞が重要な役割を果たしていると考えられるようになりました。これらの知見から多角的にインプラント周囲の歯槽骨のリモデリングについて考察をしていきます。

最後に、トピックスとして最新の歯科用CTについても紹介させていただきます。

 

テレコムセンターに変更です。